2018年 04月 30日
直感のチカラ
小説家の宮本輝氏は、作品の取材のために舞台となる地を訪れた際、仔細にその地を巡ることはほとんどなく、なんら特別ではない風景、たとえば早朝の路地裏の石畳の上にポリバケツがころがっていて、カラスどもがついばんでいる、というような景色で小説中に登場させるその地の特徴やイメージを得てしまい、ほんらいなら案内するものが見てほしい名所だとか旧跡には興味を持たない、そう自身で書いている。
偉大な作家でもなんでもないわたしだが、かれのこの感覚はとても理解できるので、その地における「急所」のようなものを勝手に感得してしまえば、巷間知れわたった名所などはむしろその地の印象をおとしめてしまうことも少なくない。この場合その地の「急所」となるための原則とか基準があるわけではなく、ひとえにわたしの感覚とか印象にもとづく勝手なものなので、ほかの人に説明はできても同感してもらえる保証はないし、またその必要もないだろう。
「〇〇へ行ってきた」
「じゃあ△△へは行ったでしょぅ?あそこへ行かなきゃ〇〇の真髄は判らないから!」
たいていの場合、そういう真髄にふれるような名所・旧跡にいったことがないので、あるいは行ってもわたしの記憶に刻み込まれないので、わたしは曖昧に微笑むだけだ。
へそまがり、独りよがり、独善家、自己中心、まぁさまざまに罵倒されてきたが、しかたがない。わたしの心に焼き付いたふとした景色は、その地ならではの強烈なメッセージでわたしを叩きのめしたから。
ここがタヒチでも、石垣でも、ヌーベル・カレドニーでも、どうでもいいことだ。
先日のわたしは、まがいようもなくこの景色にとらわれ、時間を忘れていたという事実があるだけだ。
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kurama66644 at 2018-04-30 09:55
こんにちは。
海沿いに抜ける道 素敵ですね。
その先にある水平線のゆらぎや蒼い海もいいですが
道端の緑の中にある茶色の枯葉が良いコントラストになっていると思いました。
海沿いに抜ける道 素敵ですね。
その先にある水平線のゆらぎや蒼い海もいいですが
道端の緑の中にある茶色の枯葉が良いコントラストになっていると思いました。
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hidyh3 at 2018-04-30 11:22
kurama66644さん
こんにちは。メッセージありがとうございます。
写真を撮ることが苦手なものですから、ほんとうはもっと素晴らしい景色なのですが、その雰囲気を少しでも感じていただけたら幸甚の至りです。
この景色にふさわしい音楽について書きたかったのですが、むしろ邪魔になると思い、やめました。
いずれ書きたいと思います。
こんにちは。メッセージありがとうございます。
写真を撮ることが苦手なものですから、ほんとうはもっと素晴らしい景色なのですが、その雰囲気を少しでも感じていただけたら幸甚の至りです。
この景色にふさわしい音楽について書きたかったのですが、むしろ邪魔になると思い、やめました。
いずれ書きたいと思います。
by hidyh3
| 2018-04-30 08:51
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